感動した治療book

2013年06月22日(Sat) 認知症

80代女性

現在通院してもう4年ほどになりますが、右の瞼が下がりやすいのと、物忘れが始まった為、鍼灸でなんとかならないかと、ご来院されました。

瞼はご来院される2年前から徐々にさがりやすくなったとのことでした。物忘れに関しては、新しい記憶を忘れやすいことがお悩みでした。他には頻尿で、2時間に1回ほど頻繁に尿意があり、夜間尿もありました。また、疲れやすく、手足が冷えるわりには暑がりとのことでした。(実際手も足も常時大変冷たく感じました。)目に関しては、瞼が下がりやすいだけではなく、目の疲れやすさ、乾燥、夜盲の症状もありました。

来院の5年前に脳梗塞をされており、お悩みの症状は、それによる後遺症からと思われました。脳血管性の場合の物忘れは、いわゆる認知症で知られている症状とは少し異なり、できること、できないことは障害の起きた血管により多種多様です。こちらの患者様は時間と日にちは認識できますが、新しい記憶が定着せず、古い記憶ばかりがよみがえり、来院されると同じ会話を話されるのがいつもの様子でした。

患者様の認知症状は4年前より悪化することはなく、現在も付き添いはありますが家から院まで歩いて治療にお越しです。現在のご様子は、4年前の表情や会話に乏しかった様子からは想像できないほどにまでなり、お笑いになったりすることもあり、帰りは次の予約をご自身で決めて帰られます。

治療は梗塞が起こって障害された脳に血液が行き届くような治療を加え、年齢とともに減少していく腎の気を補う治療を主に行っていきました。

一般的に知られている認知症は発症すると徐々に進行し、それは薬の服用をしても遅らせることは難しいといわれています。鍼灸治療でも症状の進行を食い止めることは困難ですが、この患者様を4年間治療してきたことで認知症状は停滞しています。
鍼灸は想像を超えた力を発揮できるのです。